
外科医として手術をするし、同時にカテーテル治療もする――。
ハイブリッドというか、二刀流というか、これが私のスタイルです。きっかけは脳神経外科医になって5年目、血管障害の治療をしたいと思ったことです。血管障害治療は、外科的アプローチでは限界があり、内科的なアプローチも必要です。そう気づいたとき、カテーテルも扱えるようになってこそ、外科医としての自分の殻を破ることができるのではないかと思ったのです。
目の前に苦しむ患者さまがいるとき、自分は外科医だからカテーテルが扱えないとは、決して口にできません。外科と内科の壁を越え、どちらのアプローチもできてこそ救える患者さまもいるのではないでしょうか。今は私と同じくそんな考えを持つ若い医師が増えていると感じます。
手術とカテーテルのいいとこ取りのできる、そんな医師が当たり前になっていくと確信しています。
2017年に母校である筑波大学に戻ってくるに際して「脳卒中科」から声がかかったときは、自分にとってこれは大きなチャンスだと感じました。それまで自分なりに脳血管内治療の手技を磨いてきて、さらにその技術を高めていくことができると思ったからです。
実際、思っていたとおりの理想的な環境で、大学病院ならではの症例の多さもあって、数多くの経験を積むことができています。脳卒中の患者さまが多い茨城県は、面積が広い割に医療機関が少ないため、地域医療の核として大学病院が果たす役割は重いと感じます。リーダーである松丸先生を慕って集まってきた医師たちがそうした使命感のもとで脳卒中治療に取り組んでいることは、非常に意義深いと思います。
後進を育てるのも、大学病院としての役割です。ここでは外科医と内科医が同じカンファの席でディスカッションを重ねており、そうした環境に身を置くことは若い医師にとって大変価値あることではないでしょうか。
手術とカテーテルのハイブリッドなスタイルがこれからの医師の姿であると言いましたが、どちらも中途半端では意味がありません。重要なのは手術とカテーテル治療の両方が完璧にできるようになることです。そうした高い志のもと、向上心を持って自分を鍛えることのできる方に、ぜひ仲間として参加して欲しいと思います。