「脳卒中科」での日々は、これまでになかった新しいことに挑戦しているという充実感に満ちています。筑波大学のリベラルな学風そのままに、出る杭を打たれるようなことはありませんから、様々な垣根を乗り越えながら自由に取り組むことができています。
目指しているのは、最良の脳卒中治療を実現し、日本だけでなく、世界に誇れる脳卒中診療施設となることです。もちろんまだまだ道半ばですが、志高く、挑戦を続けたいと思います。
専門を決めずに各科をローテーションしていた初期研修医のとき、脳卒中治療の奥の深さに興味を抱き、神経内科を専門とすることに決めました。診断技術、治療法も劇的に進化していた時代でした。
その後、松丸先生に出会って脳血管内治療を教わったことが縁で、「脳卒中科」の立ち上げに際して声をかけていただきました。
特に東日本では脳卒中診療の主体を脳神経外科が担っている地域が多いですが、脳卒中を専門的に診療し、加えて自ら脳血管内治療を行う神経内科医として、脳神経外科医とは異なる視点の医療を提供することで、脳卒中患者の転帰改善に貢献したいと考えています。
「脳卒中科」のメンバーはそれぞれに強みと個性を持っており、互いに刺激しあいながら学び続けています。
外科医は自らの手術、治療手技により患者さんを治そうとするのに対し、内科医は内科治療でも血管内治療でも外科治療でも、どれでもよいので一番良い方法で患者さんが治ればいいと考えるなど、外科と内科では考え方も文化もまったく異なります。
そうした違いがぶつかり合いを生むのではなく、互いへのリスペクトへと昇華できていることがこの脳卒中科の素晴らしい点ではないでしょうか。その共通言語が、脳血管内治療です。患者さんにベストを尽くすために、互いの領域を超えて切磋琢磨する中で新しいものを生み出していこうとする「脳卒中科」のカルチャーは、誇るべきものと自負しています。